2022年04月12日
資材の高騰、その要因、対応例(参考資料:日経アーキテクチュア 2022-4-14号)
■木材
●価格の推移
・スギ乾燥材 正角
2021年3月 66,700円/㎥ → 2022年2月 130,000円/㎥
・合板
国産針葉樹合板
2021年3月 1,230円/枚 → 2021年12月 1,740円/枚 高止まり状態
●要因
・ウクライナ侵攻でウッドショックが長期化
・EUはベラル-シからの木材輸入を制限する
・欧米は自国の需要を最優先
・ロシアは非友好国にチップ状の木材、粗木材、合板用単板の輸出停止
・国産材の争奪戦が加速
■鋼材
・異形棒鋼
2021年3月 79,000円/t → 2022年3月 102,000円/t
・H型鋼
2021年3月 81,000円/t → 2022年3月 110,000円/t
・アルミの輸入単価
2021年1月 → 2022年1月 46%上昇
●要因
・鉄骨加工工場数の減少
・鉄鉱石の生産地、オースラリアの事業者が新型コロネの感染拡大に伴う移動制限の影響
・ブラジル、カナダ西部の豪雨
・日本の高炉を持つメーカは、内需低迷と脱炭素社会への対応で可動中止の傾向
●対応
・納期が可能な鉄骨加工工場の調査
・実施設計中の発注
・RC造、PCa造への変更
■生コンクリ-ト
2021年3月 14,100円/㎥ → 2022年3月 14,700円/㎥
●要因
・石灰石を焼成する輸入石こう(半数量はロシアより)の高騰
・運送費の高騰
・生コンは在庫を持てない
■内外装材、設備機器
令和4年4月から 10%~20%の値上げ
●要因
・原料価格の高騰
・塩ビ系製品であるビニ-ルクロス、塩ビ床シ-トの原料は原油由来のナフサから製造
・物流コストの上昇
■経営の現状
・契約後の値上がりは自社負担で利益率の低下
・専門業種においては、資材高騰による価格転嫁を41%ができない(落札できないため)
・ハウスメ-カ-の販売価格は、36,000円/坪値上げの傾向
■施工会社の対応
・建築主と仕様決定を早めに行う
・前倒し発注
・代替品の提案
・代替品で引き渡し、納品後に取り換え
・仕入れ先の検討
・コウトダウンを検討 VE案
・工期の延長
この記事へのコメント
昨年、計画中の仕事が資材高騰の為、落ち着くまで待ちましょうと保留になっています。
上記の記事を読むと今後も資材の金額は戻りにくいですね...
弱りましたね。
建通新聞からのメール記事にこんな文章が載ってました。
資材高騰の割を一番食らうのはやはり下請け業者さんですね。
建材・設備価格 原料高騰を転嫁できず
2022/4/8
中小企業庁の調査で、建材・住宅設備メーカーが原材料価格の上昇を十分に単価に反映できていない現状が分かった。工事会社など発注側との力関係により「転嫁しづらい状況が考えられる」と分析。値上げ交渉のコストや時間の負担をなくすなど、価格転嫁しやすい環境づくりを課題に挙げた。
取引適正化に向けて、日本建材・住宅設備産業協会と日本サッシ協会が策定した自主行動計画のフォローアップ調査結果をまとめた。それによると、原材料価格を2021年度上期の単価に「おおむね反映できた」と回答したメーカーは、発注側の立場では74%だった一方、受注側の立場では26%にとどまり、認識に大きな差が見られた。
中企庁が実施した「下請けGメン」による下請け中小企業へのヒアリングでも同様の傾向が確認できた。工事予算が先に決まっているため見積もり後の原材料費高騰を加味してもらえず「下請け企業がかぶるしかない」との実情を吐露する声が寄せられた。同業や海外製品との価格競争が激しいという指摘もあった。
この他、支払い条件の改善でも課題が見つかった。フォローアップ調査で、建設・住宅設備業界で下請け代金を「全て現金払い」している割合を聞くと、受注側は0%、発注側も25%と低い水準にとどまり、依然として手形払いが多い状況だった。
下請けGメンのヒアリングでも、長期の手形払いやファクタリング、長期期日の現金払いを確認。支払い条件のさらなる改善を目指すとした。
杉村