うちエコ診断士スキルアップ研修会 

2018年07月14日

静岡県地球温暖化防止活動推進センターより
平成30年度 うちエコ診断士スキルアップ研修会 の案内が届きました。
希望者は、
うちエコ診断士スキルアップ研修会参加。
氏名 住所 電話番号と(一社)志太建築士会と
記入して、FAX (054)254-7052 にて申込みをしてください。




  

Posted by シダケン at 16:52Comments(0) →省エネ・エコの開発

合同部会会議

2018年06月16日


平成30年度 第1回 合同部会会議

日時:平成30年6月15日 18:30~

場所:(株)中澤住宅工房 事務所




昨年に引き続き、今年も連座勉強会を開催するにあたり、
勉強会のメインテーマ及び今後の進め方について話し合いました。
ご参加いただいた皆様おつかれさまでした。

担当:山脇
  

うちエコ診断を実施します

2016年09月30日

静岡県地球温暖化防止活動推進センターからの案内です。
お知り合いにご紹介ください。 記事:佐野芳正





  

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森みわさん レポ-ト

2016年06月16日

第20回国際パッシブハウス・カンファレンス レポート









  

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森みわさん ニュ-スレタ-

2016年04月12日

パッシブハウス・ジャパン代表森みわ

奥村昭雄さんの功績

実は先日、新建ハウジングの企画で建築家の伊礼智さん、新建新聞社の三浦社長と3人で、黒部の前沢パッシブハウスにて鼎談を行った際、伊礼さんがお帰りの際に会場に忘れてしまった一冊の本が、奥村昭雄さんの著書“パッシブデザインとOMソーラー(建築資料研究社より1995年に発売)”でした。奥村さんと言えば、長年吉村順三さんの事務所におられ、芸大で教鞭を取られた著名な建築家ですが、私は恥ずかしながらこれまで奥村さんの著書を手にした事がありませんでした。ところが今回ひょんなことから、奥村さんの著書を読む機会を頂き、とても大きな発見がありましたので、その幾つかを今日のメルマガで紹介したいと思います。

今回著書を拝見し、奥村さんの建築物理学に関する考察は想像以上に深く、彼は住宅内の温熱にまつわる物理現象のほぼ全てを理解していたという印象を受けました。著書の内容を一部引用しながら、今回の私の4つの感動についてご紹介いたします。

感動その1:奥村さんは断熱が良ければ集熱も蓄熱は少なくて良いと主張していた。


奥村さんは空気による太陽エネルギーの集熱だけを追求されたのではなく、断熱、気密、蓄熱の重要さを理解されていました。 また、その3つの内のどれか一つの量が変化する時、それ以外の要素も変化しなければならない事を著書の中で記されていました。

“断熱、蓄熱、集熱という三つの要素のバランスで決まる。全体的に断熱が良ければ、集熱は少なくていいし、蓄熱も少なくていいという関係になります。集熱が多ければ、蓄熱を増やさなければ安定化しないし、増やし過ぎると低温安定になる。この三つの力関係のバランスがちょうどいいところを見つければいいわけです。”

感動その2:奥村さんは、密集地では屋根での集熱、郊外では南面の窓からの集熱が基本と考えられていた。


奥村さんは、冬場の太陽熱利用として、南面の窓ガラスからの集熱が最も効率が良いと考えていた事を今回知ることが出来ました。
“パッシブデザインの集熱の方法はいろいろありますが、その中で最も簡単で最も効果が大きいのはダイレクトゲインです。ダイレクトゲインがなぜ最も効率がいいかというと、ガラスの透過率分しか部屋に入ってくる日射量が落ちていないからです。(中略)ペアガラスだと二枚あるから、透過率が二度かかって72%ぐらいになります。”

従って奥村さんは、OMソーラー式の屋根での空気集熱を、もともと密集地の住宅向けに発案されたと知りました。郊外型の住宅では、1Fの南の窓に日射が入るので、屋根で集熱する必要は無い訳です。

“日本の都会では、建てた当初は南面が空き地だったとしても、いつまで空き地か保障出来ないのです。だからダイレクトゲインに全面的に期待するのは非常に難しいと思います”

発見その3:奥村さんの時代は、水集熱がまだまだ扱いにくい時代だった!


奥村さんが太陽熱を、現在主流となっている水媒体によって集熱しなかった理由は、どこも漏れずに配管するのは至難の業だという確信に基づく事が分かりました。

“この水集熱式ソーラーシステムの非常に難しい点は、一滴も水が漏らないようにしなければならないことです。膨張収縮を起こして凍る危険性もある。この住宅の場合は夜間になると、たしか水を下の蓄熱槽へ落とすように考えたと思います。”

つまり、媒体として不凍液を用いた密閉回路を想定していなかったために、開放回路の扱い難さを痛感し、空気集熱にこだわられたのだと私は察します。

“小規模にお風呂一杯分ぐらい沸かすのなら何とかやれるけども、お風呂を沸かすエネルギーと、暖房に使うエネルギーは量的なケタが違う。だからお湯を使うより空気を利用したほうがいい。空気なら少しぐらい漏れても誰も文句は言わないし、気が付かない。“

という表現から、先ず量的にケタが違う暖房エネルギーにメスを入れようと考えられたという事も分かりました。Q1住宅やパッシブハウス・クラスの住宅では、暖房エネルギーよりも給湯エネルギーの方が大きくなるのが特徴ですので、まだまだ住宅の断熱性能の低い時代のお話なのだな、という印象を持ちました。

発見その4:奥村さんは基礎コンクリートの外断熱を推奨していた!

奥村さんは当時から既に、基礎コンクリートを蓄熱体として捉え、適度な(外)断熱を推奨していました。正直これが今回一番の驚きでした。

“OMソーラーでは特別の蓄熱体を用意することなく、土間コンクリート、またはべた基礎をそのまま蓄熱体として利用するエレガントな方法を取っている。”

そして、基礎コンクリートを無断熱状態にするよりも、断熱してしまった方が、集熱と蓄熱のバランスが良い事を奥村さんは見抜いていたのです。

“高温の土間コンに近い高温の土は、土間コンから逃げる熱を抑え、蓄熱の一部として働きます。(中略)もしこれが完全に家に取り込まれた蓄熱量とすると、むきだしのRC造の家に近いものになるはずです。これは、屋根集熱や補助暖房の能力に対してリザーバーとして大きすぎて、立ち上がり能力の不足や、過度の温度安定となる心配があります。また土に渡した熱の回収効率は高いものではありません。そこで土間コン下にはほどほどの断熱材を入れる意味があるのです”

“布基礎周りのポイントは、土間コンクリートに蓄えた熱が布基礎面を伝わって外に逃げるのを遮断する事。断熱・気密施工をしっかりと計画すること。”

以上、如何でしたでしょうか?
私達が取り組む日本のパッシブハウスを、奥村さんが見られたら、きっと“良いね!“
と言ってくださるのでは?そんな微かな希望を私は今回感じてしまいました。

“日本とヨーロッパでは気候がそもそも違うので“と私がパッシブハウス・研究所のファイスト博士に反論する時、必ず彼は”でも建築物理学は万国共通だからね。“と笑います。日本の気象データと生活習慣さえ手に入れば、日本の住宅内で起きる物理現象は予測できるという自信が彼らにはあり、例えば日本の気候においても”程々の基礎外断熱”が良いという奥村さんの主張が正しかった事は、もうじきドイツの物理学者達によって証明されることでしょう。

奥村さんが追及されていた“断熱、蓄熱、集熱という三つの要素のバランス“を、今世界中でパッシブハウスに取り組む実務者が追い求めています。これに夏を考慮した通風や調湿、そして給湯負荷をも睨んだ集熱が加わることで、建築物の設備依存率は劇的に減少し、どんどん自立型に移行していくでしょう。善意あるプロの皆さんの努力の末、今度どんなパッシブデザインのバリエーションが生まれていくか、本当にワクワクしますね。

この度は、“今更ながらきちんと奥村さんを知る“きっかけを作ってくださった、伊礼智さんの忘れ物に感謝です。なお、前沢パッシブハウスでの鼎談記事は、今月発売の新建新聞社のSH+ONEに掲載されておりますので、是非ご覧ください。

最後に、今月は4月21日~24日で第20回国際パッシブハウス・カンファレンスに参加してまいりますので、その内容は本メルマガでレポートしたいと思います!


  

Posted by シダケン at 13:37Comments(0) →省エネ・エコの開発

森みわさん ニュ-スレタ-

2016年02月09日


2)バイオマスへの罪悪感を大切に・・・ (代表理事 森みわ)

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あっという間に1月が終わってしまい、焦りまくりの森みわです。1か月が、幼少の頃よ
りも早く過ぎてしまうのは、きっと残りの人生の時間が短くなる事で、1か月のパーセン
テージが大きくなることに起因するのだ、というのが私の持論なのですが、それで納得
出来ていた時代も終わり、もうそんなに残された時間は短いのか!と最近は慌ててしま
う程です。そんな今日この頃ですが、昨日ご縁があって墨田区で槇文彦さんの講演会を
聴講させて頂きました。87歳になられた槇さんを前に、“僕たちまだ若手だから”と
建築士会会長の中村勉さん(64歳)。おかげで私は、建築家という人生のスタートを
切ったばかりの赤子の気分になることが出来たのでした。

さて、先日は幸運にも知り合いの庭師さんから、我が家の来シーズンの薪の原料を頂く
ことが出来ました。薪ストーブライフ4年目の森家ですが、薪集めはもっぱら夫の仕事に
なっていたため、切り倒されたばかりの生々しい幹を前にした私は、ついさっきまで
生きていた木を燃料化して消費する事にとても罪悪感を覚えました。捕食者として、
消費者として、誰もが見なくてはいけない現実を見ただけなのに。その木がドロドロの
化石燃料と化してから、もしくはペレットのような加工品に化けてから頂けたならその
罪悪感は大分薄れたでしょう。それは走り回る鶏を自分で絞めて羽毛をむしって細切れ
にするよりも、スーパーに並ぶ鶏ひき肉を買った方が良かった的な身勝手な話かもしれ
ません。

そう言えばドイツで暮らしていた頃は環境汚染の生々しい様子を雑誌やテレビで沢山
見せつけられました。動物が肉になる様子を見せられたドイツ人の子供が菜食主義に
なってしまうのと同じように、大人もそれでオエッとなって、もうエネルギーなんて
使いたくないと心底思ってしまうでしょう。消費を抑制するのにこんなに効果的な方法
は無いなと心底感銘しましたが、それを先日再び痛感してしまった訳です。

“見なければ良かった。”そう感じてしまう程悲惨な現状が私たちの周りを取り囲んで
いますが、自分たちの生活を取り巻く全ての現状を知りたいかどうかが、現状を良い方
向に変えたいという意思があるかどうかのバロメーターそのものなのでは?と感じます。

話を元に戻しましょう。罪悪感と言えば、バイオマスエネルギーの“使い過ぎ“に警告
を発したのが昨年のパッシブハウス研究所です。日本国内でバイオマスエネルギーの
地域暖房が少しずつ広がり始めた矢先の事なので、タイミングとしては最悪ですが、
暖房負荷がべったりと残っている住宅(断熱気密が不十分な日本の大多数の住宅がそれ
に当てはまります)において、大半の国民が暖房をバイオマスエネルギーで賄うよう
では森林資源が枯渇してしまうという話は以前からありました。また、給湯に関しては、
その需要が通年に渡ることから、暖房よりも太陽エネルギー(太陽光発電もしくは太陽
熱温水)との相性が良いということも考慮され、PHPP version 9.3ではバイオマス
エネルギーのPER(1次エネルギー/2次エネルギー変換係数)はこれまでの0.2から
1.1に修正となり、その適応は床平米当たり20kWh/m2aまで(パッシブハウスクラス
であれば、正々堂々とこの範囲内で暖房が行えるレベル)となりました。現在ヨーロッパ
では給湯対応のバイオマスストーブのバリエーションも増える中、これは耳が痛い情報
です。年間暖房負荷25kWh/m2aの家に住む私自身、全ての薪をカーボンオフセットに
使えないという事を意味しますので、先日覚えた罪悪感、大切にしていきたいと思い
ます。しかしながら、バイオマスエネルギーよりも太陽エネルギーが優先されるべき、
というのが今回の改定のメッセージであると解釈でき、薪・ペレットストーブ導入より
もまず、太陽に素直なパッシブデザインが奨励されるべきですので、私も異存はあり
ません。 そして更に着目すべきは、ある住宅において夏に使いきれぬほどの太陽光
発電量があり、その余剰分を冬に系統から買い戻したところで、冬の暖房エネルギーが
再生可能エネルギー由来だという主張も全くもっておかしいという見解が、パッシブ
ハウス研究所から明確に出されたという点でしょう。やはり日本の周回遅れは否め
ません・・・。

今月より、全てのパッシブハウス認定物件はPHPP version 9.3で計算を行いますので、
従来のバージョンからの改定が日本の物件にどのような影響を及ぼすのか、皆さんには
随時報告していきたいと思います。また、3月4日の6周年記念大会では、パッシブハウス
認定を真剣に検討されている方を対象にした、説明会を行います。

現在認定待ちの戸建て住宅物件(2016年2月現在):
小金井PH(竣工)、南山PH(竣工)、大宮PH(竣工)、米原PH(着工)、
松山PH3(着工)、秋田PH(着工)、高松PH、岡山PH、熊本PH  

Posted by シダケン at 09:03Comments(0) →省エネ・エコの開発

森みわ さん ニュ-スレタ-

2016年01月12日

2)新年のご挨拶 (代表理事 森みわ)

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日頃よりメールマガジンをご購読頂いている3453名の皆様、
新年あけましておめでとうございます。
2016年が皆様と皆様の大切な方々にとって実りのある年となりますことを、
そして、世界中の人々が争いの無い、安全で平和な暮らしへの希望を抱ける年となり
ますことを、パッシブハウス・ジャパンは願って止みません。

今年はPHJの年賀状経費345,000円を、国連UNHCR協会に募金させて頂きました。
http://c.bme.jp/13/1506/338/3289 (UNHCR)
これまでPHJからは、主に日本ユニセフ協会に募金を行って参りましたが、今年は明確に
難民救済をミッションとしている国連機関への募金とさせて頂きました。単純に団体の
イメージアップのためであれば、正直もっと無難な募金先は多数ございます。また、
このような少額の募金で、一体何の役に立つであろうかと思われる方も多いかもしれま
せん。しかしこれは選挙の一票と同様、私達の意思表示でございます。このような募金
を陰でご支援くださっている、PHJの賛助会員企業の皆様、そして省エネ建築診断士
セミナーを受講して下さった皆様、建もの燃費ナビユーザーの皆様に、
この場を持ちましてお礼申しあげます。

さて今年の正月休み、松尾さんは海外に遊びに行かれましたが、森家は海外からの来客
を連れて国内で遊びました。幸いにもお天気に恵まれ、冬晴れの屋外で沢山の時間を過
ごした中でも、特に感動したのは、箱根にあるフォレストアドベンチャーというフラン
ス発のアスレチックパーク。
http://c.bme.jp/13/1506/339/3289 (フォレストアドベンチャー・箱根)
フランス発祥のレジャーだそうで、全てのアトラクションが生きている木立に固定され
ています。ヨーロッパの安全規格を尊守した施設となっていますが、自分の身は
自分で守るというスタンスなので、セーフティラインの操作を間違えるなどのヘマを
すれば地上6~7メートルの木の上から落下する可能性も・・・。
3時間近い時間を森の空中で過ごしながら、ヨーロッパでは森林の中でこのように気軽に
遊ぶ機会があるだけでも、人々の環境保全の意識は高められていくのだろうな、などと
思いながらも、久しぶりに手に汗握る、足元が竦むアソビを堪能しました(笑)。日本の
テーマパーク特有の幼稚な雰囲気が無いところがまた最高に素晴らしく、近くに温泉も
ありますので、森林保全やエコ・レジャーをサポートしたい方には本当にお勧めできる
旅行先です。また、募金という分かりやすい形での支援だけでなく、自分達がどのみち
支払う日常の経費をどこに落として暮らしていくのかを一人一人が考えていく事は、
社会を変えていく上で大きな力になるのだろうと感じます。

さて、今日の本題ですが3月4日(金)のPHJ6周年記念大会のプログラムの確定を持ちま
して、先日大会申し込みをスタートさせて頂きました。今年は以前のメルマガでも紹介
させて頂きました、東京都四谷三丁目の東長寺文由閣ロビーでの前夜祭からスタート
です。全国から意識の高い実務者メンバーが集まる滅多にない機会ですので、是非奮っ
てご参加くださいませ。また、毎年好評の宿谷先生の基調講演も、私達にまた新たな
ヒントを投げかけてくれることは間違いありません。そしてなんといっても今年の大会
の目玉は第一回エコハウスアワード。なんと応募者でも一票を投じる事が出来る選考
システムを採用いたしました!まずは皆様の手がけた実物件でエントリー頂き、
6周年大会で自らの一票を投じてみませんか?
http://c.bme.jp/13/1506/340/3289 (PHJエコハウスアワード)
大賞を受賞者された方にはPHJウェブサイト上でのインタビュー企画を組ませて頂き
ますのでどうぞお楽しみに・・。

それでは本年も引き続き、PHJをどうぞよろしくお願いいたします!

  

Posted by シダケン at 17:42Comments(0) →省エネ・エコの開発

森みわ さん ニュ-スレタ-

2015年12月15日

2)ウルグアイって一体どこよ?(代表理事 森みわ)

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先週末はふと思い立って一般社団法人インクルージョンネットかながわ主催の“子ども
若者の貧困を考えるシンポジウムin鎌倉”に参加して参りました。実際に貧困世帯の
子供たちのための居場所を提供しているパネリストのメンバーのお話は大変心に響く
内容で、社会的弱者が孤立しない為にも、誰かのSOSに気付ける地域社会の重要性が増し
ていくと痛感しました。子供をテーマにしたシンポジウムかと思いきや、当然ですが、
私たち大人の抱える社会問題がクローズアップされました。一見豊かに見える現在の
日本人の暮らしは、大量に、そして無駄に消費される“モノ達“に飾り固められた
”張りぼて”のような空洞体にさえ見えます。貧困のため家族の食事は1日1回だけなの
に、子供には綺麗な服を着せている、そんな家庭もあると伺いました。”見栄ばかり
気にして生きる事を強いられてきた大人たちもSOSが出せない“というお話は本当に
説得力がありました。

さて今日は、日本の半分のGDPでありながら、社会的弱者にも目を向け、エネルギー的
自活も達成しつつある、ウルグアイのエネルギーシフトのご紹介です。
“ウルグアイって一体どこよ?”と私も思わずGoogle Mapで調べてしまいましたが!
南米にあるウルグアイの国土面積は日本の半分弱、一人当たりのGDPも丁度日本の半分、
ですが南米で最も豊かな国とされています。ここ10年もしない間に、国内のエネルギー
消費量を大幅にカットし、電力単価の値上げや政府の補助金利用を行わずに(ここ重要
です!)再生可能エネルギーの発電コストを下げたウルグアイは、なんと自国のエネル
ギー消費量の94.5%を再生可能エネルギーによって賄っているという事で、今話題に
なっています。

15年前には石油がウルグアイの総輸入量の27%を占めていましたが、現在はそれが
風力発電のタービンに取って代わられ、バイオマス式や太陽光発電も既存の水力発電に
加わり、国内のエネルギーミックス(輸送部門の燃料分も含む)の55%が再生可能
エネルギーとなっています。これは世界平均の12%と比べて群を抜く比率です。人口
300~400万人のこの国は、近年のマリファナ合法化やたばこの規制強化、中絶や同性婚
への寛容性で賞賛を受けて来ましたが、今度は脱炭素社会に向けてまっしぐらという
イメージを世界に受け付けました。WWFは昨年、ウルグアイを“Green Energy Leaders”
の一国と名付けました。

例えば首都モンテビデオから北に320kmにあるペラルタの風力発電所に投資しているのは
ドイツのEnercon社。この115メガワット出力の風力発電所は近郊の水力発電所に電力を
供給する結果、水力発電所は雨期の後の水枯れのリスクを70%削減、また過去に一度も
ディフォルトを起こした事が無いウルグアイという国との確実な20年契約に魅力を感じ
る複数の海外資本によって価格競争が起き、低コストで風力発電所が次々と建設されて
います。国内のインフレを考慮しても以前よりも風力の発電コストは下がっており、
パラグアイやブータンといった他の小国の成功事例と異なるのは、様々な発電方式
(風力、水力、太陽光、農業由来のバイオマスコージェネ)によるエネルギーミックス
により、電力供給が極めて安定しており、停電の頻度が激減したという点です。

以前は隣国アルゼンチンからの電力に頼っていた同国ですが、ここ3年間アルゼンチンか
ら一切電力を買わなかったばかりか、今年の夏は国内の発電量の3分の1をアルゼンチン
に売電したのです。“再生可能エネルギーへのシフトは、強い意志があれば、あとは
ファイナンシャル・プランニングだけだ。技術的に難しいことなど一つもない“とは、
ウルグアイの環境省の局長によるコメントでした。”強い意志決定と、補助金に頼らな
い賢い資金計画“というキーワードは、日本国内で成功事例となった幾つかの自治体
にも共通するところですね。それにしても、純粋にカッコいいですね、ウルグアイと
いう国。なんだかとても住み心地が良さそうに思えるのは私だけでしょうか?

さて、今回は2015年最後のPHJメールマガジンとなりました。
今年も毎月私どもの長文投稿にお付き合い下さいまして、誠にありがとうございます。



  

Posted by シダケン at 08:32Comments(0) →省エネ・エコの開発

森みわさん ニュ-スレタ-

2015年11月10日

2)アメリカのDERs(Deep Energy Retrofits) ってなんだ?(代表理事 森みわ)

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鎌倉も紅葉して参りました。もうすっかり秋ですね。
我が家では日曜日に煙突掃除をしまして、遂に薪ストーブシーズンがスタートです。
さて、今年最後から2番目のPHJメルマガの投稿は、私の嫌いなアメリカ合衆国のお話です(笑)。

アメリカの住宅って、ヨーロッパのそれと比べるとエネルギーダダ漏れのイメージ、
ありますよね?失礼ですが、アメリカって国内のエネルギーが不足したら、中東で戦争
を仕掛けて油田を占拠するだけなんじゃないかって、思っている方意外と多いですよね。
実はアメリカでは2009年の時点で、年間の総エネルギー消費量の22%が住宅部門であっ
たことを受け、国や州レベルで住宅の省エネ化に向けて法規制を進めています。そして
アメリカの州の中で一番取り組みが進んでいるのがカリフォルニア州だそうで、2020年
までには既存建物の25%に関して、2008年のレベルから70%のエネルギー削減を達成
しようとしています。

今日の投稿のタイトルのDERs (Deep Energy Retrofits)とは、アメリカの打ち
立てる省エネ政策のカッティング・エッジと呼ばれており、既存建築の省エネ改修に
よって、エネルギー消費量をなんと70%以上削減しようという試みなのです。10~20%
程度の削減であれば、特に難しいことでは無いと言われてきましたが、“ディープ“と
いうだけあって、気合が違います。そこで始めて専門家の間でもパッシブハウスという
キーワードが浮かぶことに。

http://c.bme.jp/13/1506/318/3289
上記のリンクは、アメリカ合衆国の環境省の発注により2012年にBerkeley National
Laboratory ( http://c.bme.jp/13/1506/319/3289 )から発表されたケーススタディレポートで、
カリフォルニア州の11の省エネ改修事例に関する報告及び分析となっております。
レポートは321ページに渡りますが、最後に要約がありますので、一部を私の和訳で
紹介させて頂きます。

(前略)パッシブハウス基準で求められるような高い気密性能や断熱性能は、我々の
ような温暖な気候ゾーンで既存建物のエネルギー消費量を半減させる目的のためには
不必要であるとこれまで考えられてきた。しかしながら、パッシブハウス的アプローチ
は居住者の自由な生活スタイルを守りつつも、冷暖房エネルギーを大幅に減少させる
ためには非常に有効であることが証明された。比較的温暖な気候であっても、断熱性能
や気密性能によって、空調エネルギーを削減する事が出来る一方、機械設備に頼った
省エネ住宅モデルというものは、往々にして不必要に複雑であり、上手く機能しない事
もあり、余計にコストがかかるだけでなく、程々の省エネ性能しか発揮しない場合が
ある。オリジナルの設備コンセプトの類も問題が多く、ことに太陽熱と暖房を組み合わ
せた温水システムもわずかな効果しか発揮していないように見受けられる。このレポー
ト作成の目的は、今後DERsを推進していくための助言となることであるが、既存の
建築物の改修によって、70%以上のエネルギー削減効果を求めるDERsにおいては、
充填断熱を脱却した(付加断熱)仕様や漏気回数3.0回(C値で言えば1.5相当)以下の
気密性能、そして最高スペックの窓、熱交換換気装置や省エネ設備、更に最低でも2kWの
再生可能エネルギーの搭載が必要である。(下略)

如何でしょう、アメリカの本気度、皆さんに伝わりましたでしょうか?
がんばれ属国ニッポン!?

最後に・・・。
PHJ事務局@鎌倉では、今週末に迫った国際パッシブハウスデーのポスター&チラシの
発送を終え、物件見学申し込みを頂いた皆様へ現地案内図等を送信する作業を開始いた
しました。私自身は今年は前沢パッシブハウスにおりますので、まだどこを見に行くか
迷っている方は是非北陸新幹線でお越しください。施工工務店の協力により、黒部宇奈
月温泉駅からシャトルバスを準備しておりますので、足の無い方でもご参加頂けます!
  

Posted by シダケン at 08:26Comments(0) →省エネ・エコの開発

森みわさん ニュ-スレタ-

2015年10月14日


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2)大手メーカーの新商品が省エネ健康マップのPHJ推奨ゾーンに入りました!(代表理事 森みわ)

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本日はPHJ鎌倉事務局に新たなパッシブハウス認定の証書と外壁用のサインが届きました。
今回パッシブハウス研究所から証書を受け取るのは埼玉県熊谷市の大和屋株式会社
(創業は1824年!)のモデルハウス。この度自社のモデルハウスをリノベーション
してパッシブハウス認定を取得されました。本来リノベーション物件は年間暖房負荷
25kWh/m2をクリアすることでEnerPHit認定を取得することが出来ますが、大和屋の
モデルハウスは木質繊維断熱材による付加断熱と高性能サッシの採用でなんと新築の
認定基準を上回る性能を叩き出し、通常のパッシブハウス認定が下りるというレアケース
となりました。日本の太平洋側は日射取得に恵まれているため、熊谷のような寒い地域
であっても、窓からの日射を有効活用することで、大きな省エネ効果が期待できること
を立証して下さいました。おめでとうございます!

さて、省エネ健康マップには先日、大手建材メーカーのモデルプランが新規に掲載され
ました。フィアスホームカンパニーによるアリエッタDSという木造住宅モデルで、
これまで掲載してきた他のハウスメーカーの標準仕様と同様に、自立循環型住宅の標準
プランを間取りに用いて、燃費計算を行っているため、水色のドットでマップ上に
マーキングされております。
http://c.bme.jp/13/1506/294/3289 (PHJ)
マップを覗いて頂ければ一目瞭然ですが、メーカーのモデルプランとして初めて、
黄緑色の三角形、すなわちPHJ推奨ゾーンにエントリーです!これまで躯体性能の高い
ハウスメーカーといえばスウェーデンハウスか一条工務店か、というところでしたが、
それらをゆうに超える性能を叩き出してきたことに、時代の変化を感じると共に、
それを陰で後押しする国内サッシメーカーの近年の進化を思わずにいられませんでした。
もちろんこれは東京で真南に向けて建てたモデルプランでの試算ですので、実際の
間取りや敷地条件で燃費はどんどん不利側になります。しかしそれは他の全てのモデル
プラン(マップ上の水色のドット)に共通する現象であり、モデルプランという土俵に
おいて大きな差別化がなされたという事には変わりありません。

年間暖房負荷15kWh/m2という厳しいパッシブハウス基準は、今でも世界中の実務者に
とって簡単には超えられないもの。ヨーロッパの自治体がパッシブハウスを義務化して
も、集合住宅であれば文句を言う人は少なくなりましたが、戸建て住宅では相変わらず
ハードルが高いのです。一方、現時点でパッシブハウスに否定的な実務者でも、年間
暖房負荷30kWh/m2を義務化する事に異論を唱えることはもうしないでしょう。要するに
私たちは年間暖房負荷15kWh/m2 と30kWh/m2の狭間で、日々試行錯誤を繰り返し、
悩み抜き、地域や国境を越えて世界中の仲間とオープンソースな情報交換を続ける、
おかしなファミリー(海外では“Passivist”とも呼ばれたり)なのです。そんな私たち
を支えているのは、実際にそのような家を建てられたお施主さんからのフィードバック
であり、情報発信であり・・(軽井沢パッシブハウスのオーナーズボイスはこちら
 http://c.bme.jp/13/1506/295/3289 (PHJ))。
そんな訳で、今年も11月13日から3日間、パッシブハウス・ファミリーのオープン
ハウスを全国で行いますので、皆さんのご来場、お待ちしております!  

Posted by シダケン at 16:55Comments(0) →省エネ・エコの開発